昭和十七年八月二十日 ― 2020年04月25日 11:51
八月二十日
よいお天気。
空気がモヤッとしてゐてせみの声がさわがしい。チッキはまだつかない。
誠之(近所の小学校)はプール大會でもあるらしくワァワァワッワッキャァと大さわぎだ。もうお休みも今日で終りか。三十日なんてまたたく間にたってしまった。私には一週間よりもっと少いやうに。でもほんとによい夏休みであったと思ふ。
北軽井沢の不破さんのおうちで過した十日間の思ひ出は一生忘れはしないだらう。
あのおかしかった色々のことは、今でも思ひ出しては一人でクックッ笑ふので家の人に「なにがおかしいの」と言はれたりした。
四人は今までよりもっともっと團結した仲良しになるだらう。そして時折思ひ出しては「あの時のこと」を話し合ふだらう。
それに私は生まれて初めて一人でよそのおうちへ泊りに行ったのだからさうたう勉強になった。南軽井沢へ行ってからも學校の勤労奉仕に行かれなかったけれど、家で立派に勤労奉仕をした。
けれど明日からは學校だ。ひと月の夏休みとはすべておわかれして勉強だ。 皆さんはきっと眞黒になってはり切っていらっしゃるだらう。學校がたのしみだ。
コメント
_ イノリン ― 2020年04月25日 12:01
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つたない母の文章にお付き合いくださってありがとうございます。
よろしければ、感想をいただけるとうれしいです。
そして冬休みお手伝い編がまだあります。
昭和18年、太平洋戦争が始まっていた年です。物資が無い中で、お正月用意をする様子が、慎ましくも朗らかに記されています。
来週の土曜日からまた始めます。よろしかったら御覧ください。