昭和十七年十二月三十一日 ― 2020年05月17日 15:40
十二月三十一日
早いものでついこの間お正月だなんていってるうちにもう一年たってしまった。何だか目まぐるしい。この一年間大きな世界的国家的事件、又學校での出來事。家での生活。等々。ここに一々書くことはむづかしい。
今日はお正月の仕度をしなくてはならないのでいそがしい。おさうぢをしてからお料理にかゝる。たまご焼、お酢の物、おサツの揚物、それからそれをお重箱へつめる。どうもつまみたくてしようがない。いや、私だけぢゃないのだ。姉や兄だってさう思ってゐるにちがひない。
戰地の兄から手紙が來る。何でも副官附※とかに榮進したのださうな。
晩御飯は年越そばである。今日中の仕事はすっかり終ったし、除夜の鐘※もきかれないから、あすの學校へ行く用意をして早目にねた。
※副官附 ハノイの軍司令部で軍服と私服半々の仕事をしていたらしい
※除夜の鐘 お寺の鐘は鉄製なので兵器を作るために献納(供出ともいった)させられていたので鐘のない寺が多かった
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