和子さんの冬休み絵日記2021年01月02日 17:45

一月五日 月曜 睛

二週間ほどあったおやすみも、すっかり終ってしまった。

もっともっとお手傳もしたかった。勉強やなにかもやりたかった。

此の戰時下に空襲のサイレンも鳴らずに、すごせたのはずい分ありがたいことだと思ふ。

御正月気分はすてゝ勉強にはげまう。いくら寒くても戰地の兄達を思へば何ともないことだ。

夜戰地の兄の所へ、今度は『馬の年』だから馬の繪を送らうと思って、色んな本をひっくりかへしたりして、やうやく三春駒を見つけてハガキに書いた。

一句春のしやうなどと考へてゐたので、とうとう出せなかった。

                            冬休みの部、終。


コメント

_ イノリン ― 2021年01月02日 17:54

大慌てで最後までアップしました。
今から79年前のお正月。敵機におびえていた当時。今はコロナにおびえて過ごしているお正月。
物は豊富にあるので当時とは比べものになりませんが、歴史は繰り返す。なんとなく薄ら寒い思いです。早くコロナウィルスが完璧に退散するか、ワクチンで完全に防ぐことが出来るか、願うばかりです。

_ トマサラ ― 2021年08月13日 21:49

戦時下の冬休み、きつくなった着物で羽根つきをなさったり、一方で、もっと勉強もお手伝いもしたかったと思われたり、お兄様に干支の絵を描いて葉書を贈ろうと新春の句まで考えられたり、女学生の純粋な気持ちと愛情を感じます。
コロナ禍の夏に、和子さんの日記を再読して広島・長崎を想い、BS『美の壺』再放送を見て感動を新たにして、戦争を知らない私達ができることは何か、漠然と考えていました。
いつかコロナが去った日に、アクリル板やビニールが海や川に捨てられませんように!それを使ってブローチでも手作りできたらいいなと思います。

_ イノリン ― 2021年08月15日 21:56

あらー、書いてくださっていたのですね。
気づかなくて失礼しました。
今日、実は父の戦時中の絵を見つけまして、それをスキャンしてここに載せようとしていました。でも、終戦記念日には向いていなさそうなのです。
訓練してたり、座学してたりで、敗戦とは関係ないのです。
母の絵日記のほうが、ずっと実感がわき、また想像力もわきます。
ただ、戦争を忘れてはいけないと思う気持ちは、トマサラさんと同じです。
コロナでもそうですが、現実に近くに感染した人はいるのです。
そういうのがないと気をつけないのよね。リアリティって大事です。
だから、私も両親の戦争の小さな記憶を残しておきたいのです。

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