和子さんの冬休み絵日記2020年12月27日 16:33

昭和十六年 十二月三十一日 水曜 睛

もう今年の終ひの日がやって來た。

だが今度は敵機がとんで來るかも知れないのだ。もう一度ホースや樽を持ち出した。

二階をおさうぢする。明日のために制服にブラシをかける。

晝から卵や寒天などの御料理をつくるお手傳をした。

寫生のために福壽草を花屋へ買ひに行ったらもう賣切たさうだ。

戰時下とはいへ大晦日の街はざわめいて、春を迎へる用意のため、人々はいそがしさうに行き來してゐた。

小さいながら門松も立って、羽根つきの音がする。

お書初めの練習をした。


昭和16年12月30日




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