和子さんの冬休み絵日記2020年12月18日 17:02

十二月二十八日 日曜 睛

姉の所へ行くため九時頃家を出る。途中で御土産を買って行く。

玄關をあけると幹雄チャンが遊んで居たが、私達の顔を見るとキャアキャアと言ってよろこんだ。範子チャンが外から息をきらせてかえって來た。しばらくの間に大きくなって、長く伸ばして編むとか言って、なにか上代の神様みたいな頭をしてゐた。

フクちゃん(今年の夏休みに産まれた)は、あやすとエヘヘへと笑ふ。三人ともパパが出征してゐるのにとてもおとなしい。おみやげを出して上げると大よろこびで遊ぼう遊ぼうとひっぱる。幹雄ちゃんは精力のあふれてこまる様なかっこうで、私達にかぶりついたりひっくりかへったりしてゐた。

おくれて母も來られ、御飯をたべてしばらくするともう三時か四時になる。範ちゃんは「もうかへんのーォもうちょっと。ネーェ」といって仲々かへさないので、「そんなら本郷(私の家のこと)へ來ておとまりなさい」といふとヤーンといふ。やっぱり自分の家が一番いゝらしいのである。

昭和16年12月28日