昭和十七年八月十六日2020年04月19日 18:31

八月十六日  

 あと軽井沢にゐる日も少い。今日は旧道へ最後の買い物に行く。おみやげをと思っても、去年の様に品物が多くない。おまけに一寸買はうと思へばハンカチ一点也。靴下は制限切符一枚及び一点也。何々は十幾点也と衣料切符※が要る。ほしいけれど二十何点ぢゃあといふことになる。暑い上に日曜の人出で頭がぼっとした。とにかく買い物を全部終へて重たい買い物袋、風呂敷包を自轉車にぶらさげてかへる。

  陽がなゝめ前から顔へさすので暑くてたまらない。眞赤になって家へ着いた。頭がフラフラした。



※衣料切符 正式には衣料点数切符制度。衣料、繊維製品は自由に購入できなくなった。ハンカチ、手拭1点とかメリヤス肌着何点とか学生服何点等、買い占め防止と絶対量の不足のため、購入時に点数切符が必要でそれ以上は買えない。木綿、毛織物にはパルプから製造する人工繊維ステープルファイバー(略してスフ)が混入されるが現在の化繊のような良質の布でなくて粗悪品だった。絹に混紡する人絹(人造絹糸)もあった




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